危険物の運搬を依頼するとき知って安心、危険物輸送の基礎知識と法令遵守のポイント 2024.01.10
危険物には様々なものがありますが、ここでは消防法上の危険物について取り上げます。危険物の運搬は、数量に関係なく消防法により規制されます。基本的なことを知っておけば、危険物運搬を運送会社に依頼するとき、安心できる業者を選べ、より安全に運べるでしょう。今回は、危険物の運搬で知っておきたい基礎知識や法令遵守のポイントをお伝えします。
消防法上の危険物とは
消防法では、危険物は次のように定められています。
・火災発生の危険性が大きいもの
・火災拡大の危険性が大きいもの
・消火の困難性が高いもの
また、危険物は次の表のように性質ごとに6つに類別されます。
[危険物の概要]
類別 | 性 質 | 特 徴 |
第1類 | 酸化性固体 | 他の物質を強く酸化させる性質をもつ固体。可燃物と混合すると極めて激しく燃焼する。 |
第2類 | 可燃性固体 | 火炎により着火しやすい固体、または低温(40℃未満)で引火しやすい固体。出火しやすく、燃焼が速く、消火が困難。 |
第3類 | 自然発火性物質および禁水性物質 | 空気中で自然に発火。または水と接触して発火もしくは可燃性ガスを発生する。 |
第4類 | 引火性液体 | 引火性を有する液体。 |
第5類 | 自己反応性物質 | 加熱により比較的低い温度で多量の熱を発生し、爆発的に反応が進行する固体または液体。 |
第6類 | 酸化性液体 | 混在する他の可燃物の燃焼を促進する性質を有する液体。 |
なお、消防法上での危険物は固体か液体です。気体のもの(都市ガス、プロパンガス、水素ガス、液化石油ガス等)の取り扱いに関しては「高圧ガス保安法」で定められています。
指定数量以上と未満の違い
危険物によって危険の程度は異なります。指定数量とは、危険物ごとに危険性を勘案して、政令で基準として定めた数量です。規制の基準値として使われます。
例えば、第4類の指定数量は次の表のようになります。
種別 | 品名 | 性質(品名例) | 指定数量 |
第4類 | 特殊引火物 | (ジエチルエーテル、二硫化炭素 等) | 50リットル |
第1石油類 | 非水溶性液体(ガソリン、ベンゼン 等) | 200リットル | |
水溶性液体(アセトン 等) | 400リットル | ||
アルコール類 | (メタノール、エタノール 等) | 400リットル | |
第2石油類 | 非水溶性液体(灯油、軽油 等) | 1,000リットル | |
水溶性液体(酢酸 等) | 2,000リットル | ||
第3石油類 | 非水溶性液体(重油 等) | 2,000リットル | |
水溶性液体(グリセリン 等) | 4,000リットル | ||
第4石油類 | (シリンダー油 等) | 6,000リットル | |
動植物油類 | (ヤシ油、アマ二油 等) | 10,000リットル |
その他の危険物の指定数量については「危険物の規制に関する政令 別表第3」をご覧ください。
指定数量以上の危険物への規制
指定数量以上の危険物は、消防法によって規制されます。貯蔵・取り扱う場所は許可が必要で、取り扱いは危険物取扱者か、その立会いを受けた人が行います。
指定数量未満の危険物への規制
指定数量未満の危険物は、各市町村の火災予防条例によって規制され、危険物取扱者でなくても取り扱いが可能です。指定数量1/5以上のもの(少量危険物)と、指定数量1/5未満のものとでは内容が違います。
危険物運搬で守るべきポイント
消防法では危険物輸送を「移送」と「運搬」に分けています。移送はタンクローリーで危険物を運ぶこと。運搬はトラックやワゴン車などで容器に入れた危険物を運ぶことで、規制の内容が異なります。
危険物運搬は数量に関係なく、少量危険物でも消防法によって規制されます。危険物運搬について守るべきポイントを、消防法の「危険物の規制に関する規則」「危険物の規制に関する政令」をもとに説明します。
危険物運搬の基準
●運搬容器
運搬容器の構造は堅固で、容易に破損したり容器の口から漏れたりするおそれがないもの。材質は、アルミ板、プラスチック、ガラス、ブリキ板、鋼板などで、危険物と反応しない材質に限られます。
運搬容器には次の6項目を表示します。
①危険物名
②危険等級(Ⅰ~Ⅲに区分され、Ⅰが最も危険)
③化学名
④水溶性か否か
⑤数量
⑥注意事項(火気厳禁など)
●積載方法
・危険物に適した容器に収納し、注入口を上に向けて積載します。
・固体危険物は内容積の95%以下の収容率にします。
・液体危険物は内容積の98%以下の収容率で、55℃の温度で漏れないようにします。
・容器を積み重ねるときは高さ3m以下にします。
・特殊引火物は遮光し、禁水性の物質は防水性カバーで覆います。
●混載について
類が異なる危険物を混載する場合、混載可能な危険物の組み合わせは決まっています。
[類が異なる危険物の混載] ※規則別表第4より
※この表は、指定数量の1/10以下の危険物については適用しません。
●運搬方法
指定数量以上の危険物運搬では、車両前後に「危」の標識を表示し、危険物に応じた消化設備(消火器など)を備えます。運搬中に事故が発生する恐れが生じた場合には、応急措置を行うとともに、消防機関へ通知する義務があります。
危険物運搬の依頼時に提供するもの
危険物運搬では、イエローカードや安全データシートを携行する必要があり、危険物運搬を依頼する際に運送会社に提供します。
●イエローカード
危険物輸送時の事故に備えて、とるべき応急処置、災害拡大防止措置、緊急連絡先などを記載しており、緊急連絡カードとも呼ばれます。消防法上の危険物のほか、高圧ガス、毒物・劇物、火薬を輸送する際にも必要です。
・記載項目:品名・国連番号、該当法規・危険有害性、事故発生時の応急措置、緊急通報、緊急連絡、災害拡大防止措置
参考:全日本トラック協会「イエローカード」
●安全データシート(SDS:Safety Data Sheet)
化学物質またはそれを含有する製品を安全に扱うための、危険性・有害性等の情報や適切な取り扱い方法などが記載されています。
・記載項目:化学品及び会社情報、危険有害性の要約、組成及び成分情報、応急処置、火災時の措置、漏出時の措置、取り扱い及び保管上の注意、ばく露防止及び保護措置、物理的及び化学的性質、安定性及び反応性、有害性情報、環境影響情報、廃棄上の注意、輸送上の注意、適用法令、その他の情報
参考:https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/anzen/dl/131003-01-all.pdf
危険物運搬は実績豊富な運送会社へ依頼を
危険物の運搬は、指定数量以上の場合は危険物取扱者の立会いが必要ですが、指定数量未満では、消防法で定められた方法を守れば、危険物取扱者の立会いなどは不要です。しかし、安全性を考えれば、危険物取扱者が在籍する実績豊富な運送会社を選ぶことをおすすめします。
共立トランスポートは、軽貨物をメインに10トン車まで対応する大阪の運送会社です。得意とする軽貨物運送で少量危険物も数多く扱っています。危険物の数量に関係なく、危険物取扱者が安全データシートやイエローカードを確認し、ドライバーに取り扱いや運搬の注意点を伝えます。指定数量未満でも危険物には変わりありませんので、万全の体制で安全第一に運搬しています。
火工品(火薬類)や毒物・劇物にも対応しておりますのでお問い合わせください。
◎危険物運搬の実績などは共立トランスポート「危険物輸送」へ
《受付は365日対応!》 050-3531-3206
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